マネージャー

真剣な人にとって
居心地のいい場所

高橋洋平

勤続年数:3年

予詩

一朝一夕には築けない品格

銀座とは、綺麗な飲み方で粋な遊びを楽しむ一流のお客様が集う街。一念発起して夜の世界に挑戦しようとした15年前、30代を目前にしていた自分には歌舞伎町や六本木は若すぎる感覚があり、挑戦するならここだなと銀座を選びました。銀座の中でもお店によって色はあり、個性が違います。コンビニやキャバクラができたこと、時代に合わせて変化してきたお店もあったりしますが僕はそういう変化とは縁遠いお店を希望していて、オーナーママが手がける老舗のお店でキャリアをスタートすることになりました。そこで夕益ママの存在を知り、5年前に予詩へ。クラブの品格は相当長いスパンをかけて築いていくものだと思うのですが、予詩にはそれがありました(予詩がオープンしたのは2016年)。他のお店ではできないことを実現しているんです。何が違うのでしょうね。昔ながらのいいところを守りつつ新しさを取り入れていて、お客様の年齢層も様々。いいものが混じり合い保たれている絶妙なバランス。基本を誰よりも大切にして、圧倒的努力を惜しまないママとスタッフたちの高い意識があるからこそ成し遂げられていると感じています。

勤続15年の中での転機

「予詩」という名前は広く知れ渡りましたが、その看板だけで仕事をしてはいけないので、自分にできることを模索しています。お店の影響力が大きければ大きいほど、考えます。正直に言うと、考えても分からず自暴自棄になったこともありました。何がきっかけでそこを抜け出したのか振り返ると、ママと二人で話す時間をくださいと言ったことかな。そこで腹をくくったじゃないですけれど。やりきってやろうという気持ちの変化がありました。この業界で15年やっていれば副社長、中には社長をやっている人もいる年齢で、かなり遅咲きなんです。けれど僕は、今チャンスを与えていただいています。真面目にやっていてよかった。辞めていく人もいる中で辛い時期もあったけれど、大変な時期に理解して寄り添ってくれた先輩がいたことも大きかったです。黒服の夢を体現して引っ張っていってくれる方、知識や経験を惜しみなく伝えてくれる上司たちとこの店で出会えたことで、自分の黒服人生は大きく変わりました。このチャンスを掴んで、未来では夢を与える側に立っていたい。成長する背中を見せて、部下を引き上げていくというのが一つの使命です。とはいえ仕事だけだとバランスが取れないので、15年ほどずっと私生活ではブラジリアン柔術を続けています。「ネガティブでいても誰も助けてくれない。辛いときこそポジティブに」という意識の転換は柔術からきています。プライベートの時間を作ってトレーニングすることも自分の中では必要不可欠です。

人を大事に想う仕事

黒服は今15人、その大半が20代の未経験スタート。黒服は枯渇していると言われているのでかなり異例です。どこも若手を育てたくて探していますから。そんな中この人数が集まっている理由は、入り口としての条件がいいからでしょう。給料や待遇をみても、飲食や接客の世界でゼロから始めるならかなりの好条件です。仕事に必要なのは、誠実さ。あとは笑顔くらいですかね。経験がなくても、いいやつが伸びる世界です。心意気と言うか、人を大切にすることが仕事ですから。お酒を飲んで矢面に立っているのは女性。彼女たちに対してときに厳しいことを言わないといけない立場にある黒服は、言動を選ばないと簡単に人を傷つけてしまう。だから、すべての人の自尊心を傷つけないことを自分はモットーにしています。何事も人間関係。今担当しているホステスさんの中には、僕が声をかけて前のお店から一緒に働いてくれている女性もいて、そういうのが心の支えです。持ちつ持たれつ。真剣にやっていると、普段厳しいママが突然褒めてくれますからね。そんなにあることではないのですが、だからこそ心底嬉しい。そういうやりとりが、いつの間にかやりがいになっています。言葉って、人をいかようにも変える力がありますよね。

42歳・黒服。フロント業務を任されており営業中のお客様のアテンド、電話対応など主要な役割を担うほか若手育成にも従事。担当女性のケアも行う。日本で柔術が一般的になる前からカルペディエムに入門し、選手として試合に出場する顔も持つ。